DES(デットエクイティスワップ)とは

昨今の経済は新型コロナウイルスの影響や物価高、半導体不足など多くの企業の経営状況は厳しい状況に立たされています。
当然、売上は減少しており、新たなサービスや商品などを開発して利益を上げていきたいと考える一方で、資金調達に奔走している企業も少なくありません。
資金がショートしてしまえば債務超過に陥ってしまいます。
そんな債務超過に陥ってしまう企業に対して、財務内容の改善策に挙げられるのが「DES(デットエクイティスワップ)」です。
本記事ではDES(デットエクイティスワップ)の仕組みからメリットなどを解説していきます。
- 1.DESの仕組みやメリットについて解説
- 1-1.DDS(デットデットスワップ)との違いとは?
- 2.DES(デットエクイティスワップ)のメリットとは?
- 2-1.経営者のメリット
- 2-1.債権者のメリット
- 3.まとめ
DESの仕組みやメリットについて解説
DES(デットエクイティスワップ)とは、「デット(債務)」を「エクイティ(株式)」に「スワップ(交換)」することを指します。
簡単に言うと「金銭の弁済に換えて株式を発行し、有利子負債を減らす」というもので、企業は現金を減らさずに借金が返せるため、過剰債務解消や財政破綻リスクを減らすといった効果が期待できます。(詳しくは後述)
なおDESは、債権の現物出資が前提とされています。金銭出資を受ける場合は「疑似DES」とも呼ばれています。
債務との交換によって株式が発行されるため「債務の株式化」とも呼ばれており、企業のバランスシートを整え、事業継続や経営改革を行うための準備として活用されます。
DDS(デットデットスワップ)との違いとは?

DES(デットエクイティスワップ)と似た言葉として、「DDS(デットデットスワップ)」があります。
DDSとは、既存の借入金を劣後ローンとして借り換える過剰債務解消手段のことです。
DDSによって劣後ローンとして借り換えると、過剰債務が解消され、財務体質の安全性が担保されると評価されます。
そのため金融機関内では劣後ローンを資本としてみなされるため、DDS活用前よりも良い条件の融資を受けられる可能性があります。
DESとDDSの違いは「適用される企業規模」と「手続きの容易さ」です。
債権者が金融機関の場合、DESの適用は大企業、DDSの適用は中小企業になります。
DESが大企業に限定される理由は、金融機関が株式を保有するからです。
また、DESは新株発行などの手続きが必要になりますが、DDSにはそういった手間は必要ありません。
DES(デットエクイティスワップ)のメリットとは?
DESを行うメリットは、経営者、債権者それぞれにあります。
本章では、それぞれの視点から見たメリットについて解説していきます。
経営者のメリット
経営者のメリットとして挙げられるのは、以下の3点です。
- 財務体質が改善できる
- 金融機関の与信審査が有利になる
- 株式の価値向上が期待できる
経営者の最大のメリットと言っても過言ではないのが、負債が圧縮され、資本が増えることによる「財務体質の改善」です。
DESによってバランスシートの負債の部に計上していた借入金を「純資産の部」や「資本金」「資本余剰金」等に振り返られるため、財務体質の健全化につながります。
また、財務体質が改善されれば企業としての信用度が高まり、与信審査を有利に進められ、新たな借入を行うなど事業に必要なお金を揃えることも可能です。
さらに無事に経営改善を図れた際には、発行した株式の価値も必然的に向上していきます。
株式の価値が向上する可能性があることは、債権者に対しても大きなアピールポイントになるでしょう。
債権者のメリット
債権者のメリットとして挙げられるのは、以下の2点です。
- 株主として経営に関与できる
- 再建された際には利益を享受できる
債権者はDESによって企業が発行する新株を取得することになります。
株主になることで経営再建に向けて積極的に参画することが可能です。
積極的に参画できれば、経営者モラルハザードの抑止についても期待できます。
また、企業が再建に成功すればキャピタルゲインやインカムゲインなどの利益を享受できます。
なお、DESによって必ずしも企業が再建できるとは限りません。企業を慎重に見極め、事業再生の見込みがあるかどうかを判断する力が求められます。
まとめ

経済状況が芳しくない中、財務状況を改善させるために「DES(デットエクイティスワップ)」を選択する企業は増えていく可能性があります。
DESを活用することで、経営者にとっても債権者にとってもメリットがあります。
大切なことは、経営者は経営再建のためのステップとして活用する意識を持つこと、債権者は企業の動向を適切に見極めることです。
本記事がDES活用の一助になれば幸いです。